日本に数多くあるラーメン店の中でも、屈指の名店と呼ばれる店がある。そんな名店と、その店主が愛する一杯を紹介する本連載。今回は埼玉県日高市の人気店「麺屋 真心」の店主・日塔さんの愛する名店「寿製麺 よしかわ」をご紹介する。
「看板メニューは「煮干しそば」と「いわし丼」
「魚」と「ラーメン」。カツオ節や煮干しなど、乾物系のスープのラーメンは昭和の昔から広がってきたが、最近では“鮮魚系”と言われる鯛や鱈、鮭などの鮮魚を使ったラーメンが人気になっている。
その中で、「魚」×「ラーメン」でまず思い浮かぶ店が「寿製麺よしかわ」だ。「海鮮丼」が食べられるラーメン店として有名になり、埼玉県を中心に展開。その人気はとどまることを知らない。自慢の煮干ラーメンと海鮮丼の相性は抜群で、魚を扱わせたらラーメン界トップクラスとの呼び声も高い。
店主の吉川和寿さんは東京都新宿区生まれで、埼玉県富士見市育ち。中学を卒業し、高校を中退して、建設関係の仕事をしていた。16歳の頃に友人の親がやっていた恵比寿の防衛庁(当時)の食堂でアルバイトをし、料理の楽しさを知る。そして19歳から料理の世界に入ろうと、活魚料理の居酒屋からイタリアン無国籍料理まで、5年間で15軒のお店を転々とし、料理レベルを上げていく。最終的に和食料理屋に戻って働いたが、給料が良くなかったことと、結婚もしてお金が必要だったということで次の職場を探す。
その後、所沢総合食品地方卸売市場で仕事を始める。ここでは昆布やカツオ節などの乾物をメインに扱い、魚の知識を蓄えていく。夜は居酒屋でアルバイトをしながら、市場での仕事は10年間続いた。
2011年には独立して埼玉県上尾市で居酒屋をオープンした。34歳の頃だった。
割烹のような居酒屋で、こだわりのある料理を提供。しかし、あまりうまくはいかなかった。料理のクオリティには自信があったが、こだわりすぎて従業員が育たず、このまま成長していくのは難しいと感じた。