こうして振り返ると「不祥事と炎上のオンパレード」と言ってもいいような政権だが、岸田政権はなぜここまで持ちこたえているのか。角谷さんはこう説明する。
「岸田首相は『自分に責任がある』とは言うが、責任は取りません。普通の感覚では『責任がある』と言えば、辞任してけじめをつける話なんですが、そうはなりません。これは『安倍論法』と言われ、安倍元首相が多用した手法です。旧統一教会とのスキャンダルについては『関係を断つ』と言いながら、関係が深いとされる議員が閣内や党内の要職に就いています。メディアはこうした事態に厳しく対峙する必要があるのですが、受け入れてしまっている。その結果、低空飛行で政権が維持される結果になっているのだと思います」
また、岸田首相の“見た目”の印象も影響を与えていると見る。
「麻生(太郎)氏が岸田首相について『リベラルそうに見えるあの顔が世の中に受ける』と言っていましたが、実際そういった側面がしぶとさにつながっていると思います。岸田首相は宏池会なのでリベラル、ハト派のような印象がありますが、実際はそうではない。メディアも野党も岸田首相のイメージを正確につかみ切れていないため、のらりくらりと岸田政権を生かすことになっています。このまま政権を維持し続けることもあり得ます。岸田首相を改めて“解剖”し、正確に理解する必要があると思います」
ちまたでは、10月に解散かという声も出始めている。この国のかじ取りをこれからも岸田首相に任せていいのか、われわれはよく考える時期を迎えている。
(AERA dot.編集部・吉﨑洋夫)