アプリに表示された体組成計の計測値に基づく記者のカラダ記録。ヘルスウォッチと連動し、血圧や心拍数、体表面温度も記録、表示される

気づけば1日おきに…

 週2回のつもりだったのが、気づけば1日おきに通っていた。設置されているトレーニングマシンをほぼすべて使うようになったが、15回×2セットをこなしても滞在時間は30分を超えない。相変わらずジムを出ると、たまらなくおなかがすいた。ジムの階下には「吉野家」があった。ここでトレーニングの後、朝牛セット(牛丼とお新香、みそ汁)を食べるのが日課になった。

 入会時にチョコザップの広報担当者からこんなアドバイスを受けていた。

「短期間で痩せるといった結果を出すというよりは、無理のない範囲で生活習慣に取り入れて継続して運動することで健康になってもらえれば、と考えています。体感として心身がリフレッシュしたとか気分が良くなったという変化に留意してください」

1カ月で数値は横ばい

 実際、約1カ月利用して体重などカラダのデータはいずれもほぼ横ばいだった。が、心境には変化が生じていた。そのことを自覚したのは、あるハプニングに遭遇した時だ。ジムに着いた際、スマホアプリの画面がフリーズし、入館証が表示されないトラブルが一度だけあった。スタッフがいない施設だけに、入館証が表示できなければ撤退せざるを得ない。この直前まで、私の頭の中では「きょうはどのマシンから使おうかな」と少し弾む心持ちで、既にトレーニングをしている自分の姿がイメージされていた。それが不意に奪われた衝撃は、自分でも意外なほど大きかった。もちろん、帰り際に牛丼を食べる気にもなれない。

 もうウォーキングだけで気分転換できるカラダではなくなっていた。私にとっての「ちょいトレ習慣」は、もはや一日のスタートとして欠かせない生活リズムに組み込まれつつあったのだ。帰宅後、アプリで紹介されていた自宅でできる筋トレメニューをこなしてなんとか気分をすっきりさせた。そのあと、チョコザップのコールセンターに問い合わせ、入館証の表示が無事復旧した時には、文句どころか、担当者にお礼を繰り返す始末。その時、ふと思った。この料金と時間で心身がリフレッシュできるのは何物にも代えがたい。それが健康にもつながるというのであれば、通い続ける以外に選択肢はない、と。(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年10月9日号

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