霞ヶ浦・木村優人

 今年のドラフト会議まであと1カ月を切った。ここからスカウト会議の機会も増え、候補選手を絞り込んでいくことになるが、各球団が狙うべき選手をチーム事情などから探ってみたいと思う。今回はセ・リーグAクラスの3球団だ(9月28日終了時点)。

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【阪神】

 18年ぶりとなるセ・リーグ優勝を達成した阪神。2003年、2005年の優勝は他球団で実績のある選手が多かったが、今回はほとんどが生え抜きの選手で、全体的な年齢も若い。投手、野手ともに今後の成長が期待できる選手も多く、他球団と比べても充実した戦力であることは間違いない。これまでの報道では豊作と見られている大学生投手をまず狙うのではないかという話も出ており、まずは最も評価が高いと思われる常広羽也斗(青山学院大)、細野晴希(東洋大)、武内夏暉(国学院大)の3人を狙ってさらに若手投手陣に厚みを持たせるというのが基本線となりそうだ。

 ただ22~25歳の若手投手が充実していることを考えると、無理に大学生を狙う必要性はそれほど高くないように感じる。抽選で外した場合は木村優人(霞ヶ浦)、坂井陽翔(滝川二)、東松快征(享栄)など将来性豊かな高校生投手をまず狙う方針に切り替えるのが得策だろう。

 野手も若手に楽しみな選手が多いが、少し気になるのが捕手だ。正捕手の梅野隆太郎が大きく成績を落とし、2番手捕手の坂本誠志郎も今年で30歳となっており、次代の正捕手候補は必要不可欠だ。2位でもし残っていれば大学ナンバーワン捕手の進藤勇也(上武大)を指名して、一気に世代交代を狙うのも面白い。他のポジションでは将来のサード、ファースト候補となる若手が少ないだけに一部報道で出た明瀬諒介(鹿児島城西)を上位で指名するか、3位以下であれば森田大翔(履正社)、仲田侑仁(沖縄尚学)など右のパワーヒッターなどが狙い目になりそうだ。

【広島】

 新井貴浩新監督を迎えてAクラスに躍進した広島。しかし投手も野手もベテランと外国人選手への依存度が高く、補強ポイントは少なくない印象を受ける。投手では先発の太い柱になれそうな素材に加えて、疲弊が目立つリリーフ陣の底上げ。野手では不足している右の強打者タイプと、菊池涼介の後釜になれる存在などが必要である。もちろん1年のドラフトで全てを補強することはできないため優先順位をつける必要があり、先日のスカウト会議ではまず早くから戦力になれる投手を狙うという報道が出たことからも、1位は大学生投手になりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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