3歳馬ではフィードザフレームも有力。仏ダービーでは4着に終わったがパリ大賞に勝利している。前哨戦の仏G2ニエル賞で2着と敗れたことでやや株を下げたが、高いロンシャン適性は侮れない。

 そのニエル賞でフィードザフレームを下したのは独ダービー馬のファンタスティックムーン。前走後は時計の速い馬場を求めて米ブリーダーズカップ開催やジャパンカップへの遠征を示唆していたが、今年の凱旋門賞ウィークは好天予報でパリロンシャン競馬場の馬場も重くならない見込みということで、急きょの方針転換で追加登録してきた。ドイツ馬は2年前のトルカータータッソの激走も記憶に新しく、一発の魅力は秘めている。

【古馬の大将格はローテーションと年齢に不安】

 古馬勢の大将的存在はキングジョージを制したフクムだ。待望のG1初制覇を果たした昨年6月のコロネーションカップ直後に骨折で長期休養の不運を乗り越え、復帰戦だった今年5月の英G3ブリガディアジェラードステークスでは当時無敗の英ダービー馬デザートクラウンを破って復活。続くキングジョージではウエストオーバーをアタマ差で下して2度目のG1制覇を果たした。

 全弟に2022年の欧州年度代表馬バーイードがいる血統も魅力だが、今年で6歳という年齢がネック。過去10年で6歳以上の馬が凱旋門賞で3着以内に入ったことは一度もない。またスルーセブンシーズの項でも触れたように、7月末のキングジョージ以来の実戦というローテーションも不安が残る。その点はキングジョージ2着以来となるウエストオーバーも同様だ。

 とはいえ、今年は凱旋門賞の前哨戦となるレースを勝った馬たちの不在も目立つ。前述のように愛チャンピオンSを制したオーギュストロダンは不在で、ヨークシャーオークスとヴェルメイユ賞を連勝した3歳牝馬ウォームハートも凱旋門賞には出てこない。となると、間隔が開きすぎるローテーション面での割引材料は今年に限っては不問となる可能性が出てくるかもしれない。

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凱旋門賞ラストランとなる騎手にも注目