AERA 2023年10月2日号より

 男性はクライアントには自分の仕事が「副業」だとは言わない。片手間というイメージを与えるからだ。

「実際はスキルがないのに、経歴を偽って副業を始めたために、クライアントとの間でトラブルになった例を聞きます」

 男性は、同じ読みでも「複業」だと思っている。サブの仕事ではなく、並行して複数の仕事をする働き方だ。

 この男性のように、仕事を依頼したいクライアントと、仕事をしたいワーカーが出会うプラットフォームが増えている。

 サービスをはじめて10年の「クラウドワークス」のマネージャー田中健士郎さんによると、最も多い依頼は、ウェブライティング業だ。通販の商品紹介、企業の採用ウェブサイトの記事などを書く仕事だ。最近のトレンドは動画編集、AIを動かすためにデータを集める仕事、動画の台本作りだという。

「環境面、職種面のどちらかに『ずれ』を作ると、副業として成立しやすく、面白いと思います」(田中さん)

 初心者でも始められる副業は何か。ニュースサイト「しごとウェブ転職」を運営する硯里宏幸さんに分析してもらった。アフィリエイトやYouTubeは元手がなく当たれば大きいが、必ず稼げる保証はない。一方、データ入力やウェブライティングは確実だが報酬が少なめだ。「好き、してみたい、という視点で選ぶといいと思います」と硯里さんは話す。

 プラットフォームを介して、思いがけないことが仕事になった例がある。結婚相談所を経営する佐藤美香子さんは「私が新しい仕事を作っちゃったんです」と話す。

次々と仕事が

 結婚相談所を開業した4年前、「無料なら」と登録したのが、プラットフォーム「タイムチケット」だ。個人が仕事を依頼して、個人が受注できる仕組みだ。本業の結婚相談所では、一眼レフカメラ、スマホで相談者の撮影をしていた。副業でも同じようなことができないだろうか。スマホで撮るなら機材も必要なくて手軽だ。

 試しに「マッチングアプリの写真撮影、アプリのプロフィル文の添削、恋愛相談にのる」旨を書いたところ、次々と仕事が舞い込んできた。

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