自閉症などの障害がある子どもたちをモデルにした写真展が、東京工芸大学(東京都中野区)で開かれている。撮影したのは芸術学部の学生たちだが、その中に、障害や複雑な病気とともに生きる2人の女子大生がいた。ハンディがある子どもたちと接し、その姿をカメラで撮影した彼女たちは何を思ったのか。
東京工芸大学の創立100周年を記念し「100の笑顔展」と名付けられた展覧会。
中野区にあるキャンパスを訪れると、無邪気な笑顔だったり、一瞬のまなざしだったり、キッズモデルたちのさまざまな表情をとらえた写真が、撮影した学生の名前とともに展示されていた。みんな、知的障害や発達障害などのハンディがある子どもたちだ。
今年6月に、障害児のモデル(カラフルモデル)事業を展開している企業「華ひらく」の協力を得て、撮影会を開催。芸術学部の主に写真学科の学生たち30人がカメラを構え、うち約100点を9月29日まで展示している。
その学生たちの中には、見た目ではなかなか気づいてもらえない複雑な病気や、障害とともに生きる2人の女子大生がいた。
痛すぎて、トイレで意識を失った
一人は島崎蓮子(はこ)さん(19)。一見して、おしゃれで元気そうな彼女は「過敏性腸症候群」と「起立性低血圧」などの病気があり、高校1年の時からリュックにヘルプマークを付けて過ごしている。
幼いころから、激しい腹痛に悩まされてきた。いつそれが襲ってくるかは自分でも分からない。短時間で収まったり、一日続いたり。
「痛すぎて、トイレで意識を失ったことが何度もありました」
小中学校では、授業を抜け出してトイレにいくことが多く、早退や遅刻を繰り返した。
「いつも、不安でした」
高校で写真部に入り、カメラの魅力にはまると学校に通うのが楽しくなった。だが半年ほど経ったころ、今度は別の症状に悩まされるように。朝、目が覚めても体を起こすことができないのだ。
「学校は楽しいのに、なんでこのタイミングで私はこうなっちゃうんだろうって。出席扱いにしてもらうためにギリギリの時間に学校に行くことが増えていって、学校をやめようかとも考えました」