そんな頃、ある大人が島崎さんにこんな一言を発した。
「病気を言い訳にして学校に来ないだけじゃないのか?」
島崎さんを突き落とすような言葉だった。
「自分なりにギリギリの状態のなかでがんばって生きてきたのに、どうしてこんなことを言われなきゃいけないんだろう」
大学に入ってからは、薬の効果もあって症状は以前よりは落ち着き、キャンパスライフを満喫している。だが、あの時の言葉は今も心に刺さったままだ。
特性を知ろうとすることの大切さを知る
今年6月の撮影会。自分と同じではないが、ハンディを持ちながら生きる子どもたちと出会い、触れ合うことで、改めて感じることや気づくことがあった。
追いかけっこや水遊びが好きだったりする一方で、大きな声が苦手だったり、カメラ目線やポーズができなかったり、突然走り回ったり。そんな子どもたちとのコミュニケーションを試みながら、その一瞬一瞬を写すうちに、こんな思いが自然と湧いた。
「みんな、笑顔が素敵だなって。大変なこともたくさんあるのだと思いますが、お子さんが笑うと、一緒に笑顔になるご両親の姿も素敵でした。ハンディがあっても、みんな一生懸命生きているんだなって感じました」
自分の症状を、知ってもらえない辛さを経験した島崎さん。障害の特性を知ろうとすることの大切さも実感した。
「実際に接してみると、ちょっと意思の疎通が苦手だとか、それぞれの違いがあるだけ。もしかしたら、病気も抱えていなくて、常に健康な人が勝手に壁を作ってしまっているだけなのかもしれません」
障害当事者やその家族には、そんな「見えない壁」の存在を感じている人が実際にいる。それが現実だ。
「誰だって、いつ私のように病気になったり、障害を持ったりするか分かりません。ハンディがある人を遠ざけるのではなく、ちゃんとかかわっていけば相手のことを知ることができて、何かいい影響が生まれるんじゃないかと思いました」