熊の肉を絶対に生で食べてはいけない

 札幌市のHPでは、「旋毛虫の幼虫が寄生した肉を、生、乾燥、不完全加熱の状態で喫食した場合に感染します」と注意喚起している。

 また、日本国内でこれまでに発生した、冷凍された肉を刺身で喫食、あるいはローストした熊肉の加熱が甘かった、といった原因による食中毒についても警告している。

 トリヒナの予防方法としては、「熊の肉を生で食べないこと、十分に加熱すること」が鉄則だ。

 小樽市は、「中心部の温度が摂氏75度で1分間以上又はこれと同等以上の効力を有する方法により、十分加熱して喫食すること」としている。

さらに、「まな板、包丁等使用する器具を使い分けること。また、処理終了ごとに洗浄、消毒し、衛生的に保管すること」も注意している。

最悪の場合死亡することも

トリヒナに感染するとどうなるのか。

まず、下痢、腹痛、発熱などの症状が段階的に現れたのち、脳炎、髄膜炎などに重篤化、最終的には全身浮腫、肺炎、心不全などによって死亡する場合もある。

筋肉痛や眼窩の腫れなど、一般的な食中毒にはない症状が特徴だという(札幌市HPより)。

トリヒナによる食中毒はかなり頻繫に発生している。

昭和46年には、青森県で15名もの感染者が発生。昭和54年には札幌市で12名、昭和56年には三重県で172名もの大量感染が発生している。

近年では、令和元年に札幌市で、「ひぐまのいろいろな部位の盛り合せ(推定)」を喫食した9名がトリヒナに感染している。

このように、報告されているトリヒナ被害の多くが、ヒグマあるいはツキノワグマの肉の刺身を喫食したことが原因だという。

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熊の肉を刺身で食べ、172名が集団食中毒