優勝に大きく貢献した大山悠輔
この記事の写真をすべて見る

 18年ぶりのV奪回を飾った阪神。投打ががっちりかみ合った戦いぶりは、まさに「横綱相撲」だった。

【新橋の居酒屋で泣き崩れた「阪神元エース」はこちら】

 前回優勝時の2005年は4番が金本知憲、正捕手が矢野輝弘(当時の登録名、現燿大)、先発ローテーションの軸として下柳剛とFAやトレードで加入した選手たちがチームの中心として活躍した。だが、今回は違う。メンバーを見ると、FAで獲得した選手は西勇輝の1人のみ。投打は共に生え抜きの選手たちで固められている。

 アマチュア野球担当のスポーツ紙記者は、「ドラフト戦略が実を結んだ結果だと思います」と強調する。

「阪神は巧い選手より、強い選手を獲得しているイメージがあります。強いとは体の強さ、バットを振る力強さ、投手なら球の力強さですね。近本光司、中野拓夢は小柄ですが当てにいかず、力強いスイングで長打も打てる。投手で言えば青柳晃洋、伊藤将司、才木浩人、今季ブレークした村上頌樹ですね。球速の数値だけ見れば速いわけではないが、彼らは技巧派ではありません。ストライクゾーンで勝負できる直球を投げ込める。故障もしないしスタミナがある。あと負けん気が強い。どんなに良い球を投げる投手でも故障が多い選手は、1軍で活躍できないですから」

 巧い選手より、強い選手――。その代表例が4番の大山悠輔だろう。大山は白鴎大でスラッガーとして名を馳せていたが、16年のドラフトで田中正義(日本ハム)、柳裕也中日)、佐々木千隼(ロッテ)の3投手が「大学ビッグ3」として注目を集めていた。1位指名で田中に5球団が競合し、柳は2球団が競合したが、佐々木は単独指名できないと判断した各球団が回避したため、「外れ1位」で史上最多の5球団が競合した。この時、阪神は「佐々木の指名が有力」とメディアで報じられていたが、大山をサプライズ指名する。ドラフト会場に詰めかけた来場客からは「えー!」と悲鳴に似たどよめきが起きた。

次のページ
捕球してから正確な送球に定評