――どういうことですか。
芸能活動を担う新しい名前の会社と、被害者の救済・補償を担う組織の二つに分けるのが本来の姿だと思います。
その意味で、藤島氏が社長は退任したものの代表取締役としては残り、100%株主を「当面の間」続けるとしたことは妥当だと思います。今回の発表にもあったように、被害者の救済や補償は藤島氏が責任を持ってやり遂げるべきです。代わりはききません。
救済や補償には多額の費用が必要になるためです。代表取締役として、また唯一の株主として権限や資金力のある藤島氏が担うべきです。
救済・補償を担う会社は、むしろ「ジャニーズ」の名前を残すべきでしょう。性加害を行ってきた事実や責任をうやむやにしないためです。
――新社長にはジャニーズ事務所に所属するタレントの東山紀之さんが就きました。
東山さんはタレントとしては優秀なのかもしれません。しかし、企業の運営やガバナンスについて十分な経験はないはずです。「名選手は必ずしも名監督にあらず」と言われるように、企業のトップとしての可能性は未知数です。これだけの危機的状況にあるにもかかわらず、そんな人物が社長に就くのは疑問です。
また、社長には少なくても、ジャニー喜多川氏とまったくしがらみのない者を充てるべきです。東山さんとジャニー喜多川氏の関係は長く、その恩人が行ってきたことに対して何もできなかった。その意味ではグレーな立場にあります。そんな人を信用するのは難しい。
ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」の調査報告書で求められた「解体的出直し」とは、ほど遠い。やはり危機意識が不十分だと言わざるを得ません。
(AERAdot.編集部・池田正史)