会見で質問を受ける藤島ジュリー景子氏、東山紀之氏、井ノ原快彦氏
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 創業者・ジャニー喜多川氏の性的虐待問題で「解体的出直し」を迫られたジャニーズ事務所。9月7日に開いた記者会見で、喜多川氏のめいの藤島ジュリー景子社長が5日付で引責辞任し、タレントの東山紀之さんが新社長に就くと発表した。しかし、企業会計やコンプライアンス(法令順守)が専門の八田進二・青山学院大学名誉教授は「危機意識が足りないのでは」と新しい人事や体制に疑問を感じている。

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―― 今回の発表をどう受け止めましたか。

 まず「ジャニーズ」という会社名を変えずに芸能活動を続けていく方針を示しましたが、あり得ないことだと思います。この体制を決めた人達には危機意識が足りないのではないでしょうか。

 数十年にわたり、数百人とも言われる人達を苦しめてきた加害者の名前を残すことになります。

 例えば、テレビ局など取引先の企業は今後、そうした人権的、法的に問題のある会社に報酬を支払うことになる。通常のコンプライアンス意識を持つ企業だったら、健全なサプライチェーンを築く必要上、長年性的虐待が行われてきた企業とは、とても取引を続けることなんてできないでしょう。株主や従業員に対してどう説明するのでしょうか。

 もちろん、所属するタレントに問題がないことは誰もが知っています。そのため今後、芸能活動を続けるための別組織を新しい会社名で立ち上げるべきでした。

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