巨人の原監督とメンバー表を交換するソフトバンク時代の工藤公康

 工藤氏は2015年にソフトバンクの監督に就任し、在任7年間でリーグ優勝に3度、日本一に5度導いている。攻守ともに他球団を圧倒する戦力を持っていたことから、「誰が監督でも勝てる」と揶揄する声もあったが決してそうではない。選手たちのコンディションに細心の注意を払い、他球団のデータを徹底的に分析。特に短期決戦の強さに定評があり、17年から4年連続日本一に輝いた。巨人と対戦した19、20年には日本シリーズで史上初となる2年連続4連勝。投打に隙のない戦いぶりで圧倒した。

 工藤氏の監督待望論がささやかれているのは、ソフトバンクだけではない。かつて、「球界の盟主」と形容された巨人も苦境を迎えている。今季は優勝争いに絡めず、4位に低迷。逆転でのCS進出を目指して戦っている。原辰徳監督は3年契約の2年目だが、勝率5割前後を行き来している現状に風当たりは強まっている。野手陣は秋広優人、浅野翔吾、門脇誠、投手陣は山崎伊織、大勢ら若手が台頭しているが、白星を積み重ねられない。原因は明らかだ。打撃陣はリーグトップの破壊力を擁するが、投手陣が不安定で競り合いに弱い。救援陣の立て直しは数年前からの課題だが解消できていない。

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投手王国の実現も可能