今オフの「FAの目玉」として注目されるエンゼルス・大谷翔平。右肘靱帯損傷のケガが自身の野球人生の決断に、大きく影響するかもしれない。
世界一に輝いた3月のWBCから試合に出続けていた大谷。コンディション調整に細心の注意を払っていたが、体が悲鳴を上げた。異変が生じたのは、8月23日(現地時間)のレッズとのダブルヘッダー第1戦。先発した大谷は初回から右打者の外角に引っかけるようなボール球が目立ち、制球が定まらない。2回途中に、右肘に疲労感を訴えて降板。降板後も指名打者で試合に出場することが通例だが、この日は3回の第2打席で代打を送られて途中交代した。2試合目は指名打者で出場したが、試合後にエンゼルスが緊急会見を開き、右肘靭帯損傷が発表された。
今季は打者として打率.307、44本塁打、95打点、19盗塁をマーク。本塁打王争いで独走し、打点王も狙える位置につけている。投手としても23試合登板で10勝5敗、防御率3.14と先発ローテーションの軸として稼働し、サイ・ヤング賞候補に挙げられていた。大谷を突き動かす大きなモチベーションは9年ぶりのポストシーズン進出だった。だが、投手として今季中の登板が絶望的な状況に。チームも8月は9勝18敗と大失速した。球団フロントはプレーオフ進出が厳しいと判断し、ルーカス・ジオリト、マット・ムーア、レイナルド・ロペス、ドミニク・リオン、ハンター・レンフローの6選手をウェーバーにかけて他球団に放出。主力選手たちが退団することでチーム総年俸を削り、ぜいたく税の支払いを避ける狙いは明らかだった。