恋愛関係=ロマンティック関係はバーチャル化していて、マンガなどの二次元、アニメのキャラやスターといった人たちなどで満足させています。性的な満足についても風俗店やポルノなどがあります。最近では女性向けポルノが流行っているという話も聞きますし、そういうところで男性も女性も欲求を満たすことができるわけです。

 このように、決まったパートナーがいなくても、親密性を満足させるような装置がたくさん生まれてきています(この点は、別の本で扱う予定です)。

パートナー圧力のない日本

 日本はパートナー圧力――パートナーがいないとみっともないという意識――がないし、親密性を買うことに抵抗がないということも、こうした仕組みが整う理由と言えるでしょう。

 海外に日本人向けのキャバクラなどがありますが、欧米の人は不思議に思うわけです。「なんでカネ払ってまで話を聞いてもらわなきゃいけないんだ。異性の友だちとバーに行けばいいじゃないか」と。日本人やアジア人はそうした行為に抵抗がありません。たとえば日本では、江戸の吉原のような遊郭に未婚者も既婚者も昔から通っていたわけです。

 欧米社会にはパートナー形成圧力があるわけですが、それは端的に言えば、「パートナーが存在しないとみっともない」という意識です。けれども日本では、「ちゃんとしたパートナーでないとみっともない」となるわけです。その違いが大きな社会の違いなのです。

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「おひとりさま」の産業化