その結果、特にジャッジの故障や主力の不振が響いた打線は8月28日時点でチーム打率が両リーグ29位の.228と繋がりを欠き、総得点は549で同23位というありさまに。投手陣はチーム防御率こそ4.04で13位とまずまずだが2ケタ勝利が11勝のコールのみで、先発ローテーションはかなり物足りない布陣だ。ここはロドンとセベリーノ、そしてネストル・コルテスの大誤算がもろに響いている。

 ここまで行き詰ると、再建のためには高年俸の主力をどんどん放出していったんチームを解体するファイアーセールしか道は残されていないかもしれない。しかしスタントンは引き取り手がないまま不良債権として残る可能性が高く、ジャッジとコールを手放す決断はさすがに難しいだろう。

 何より98年の就任以来、一度も負け越しを経験していないブライアン・キャッシュマンGMと、父親の代から球界の盟主たるを自負しているハル・スタインブレナー・オーナーが再建のためとはいえ低迷期を自ら招く解体を決断できるか。しかもキャッシュマンGMは昨オフに26年まで契約を延長したばかりでクビは切りにくい。本人は今季の低迷を受けてさすがに自らの進退に言及しているが、オーナーからの信頼はいまだ厚いと見る向きもある。

 1980年代に大物FA補強で失敗を繰り返して暗黒時代を迎えた際は、当時のジョージ・スタインブレナー・オーナーがリーグから停職処分を受けて影響力を弱めた隙をついて現場のGMや監督たちが若手育成へと舵を切ったことで再建の足掛かりを作った。そこからデレク・ジーターやホルヘ・ポサダ、マリアノ・リベラらチームの核となる生え抜きが育ったことで、90年代後半に黄金時代を迎えている。

 現オーナーのハル氏は父親ほど現場介入するタイプではないが、2代にわたってオーナーの意向を受けて編成を進めてきたキャッシュマンGMが今から劇的な方針転換をするのは困難だろう。ヤンキースの復活なるかは新たなGMを招へいし、MLB屈指の名門としてのプライドをどこまで捨てられるかにかかっているのかもしれない。(文・杉山貴宏)

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