これにその他の選手の年俸を含めれば総年俸から残る額は1億ドルを割るのが確実。しかもヤンキースは昨オフにカルロス・ロドン投手を6年総額1億6200万ドルで獲得した。今季年俸は2200万ドルで、彼1人で補強資金の2割から3割は費やした計算となる。しかもそのロドンは開幕から故障で出遅れたうえに復帰後も調子が上がらないまま再離脱。8月下旬には戦列に復帰したが、今季の成績は1勝4敗、防御率5.97だから期待を大きく裏切ったと言われても仕方ないだろう。

 とはいえ、一部の主力が総年俸で大きなシェアを占めるというのは、大なり小なりどの球団でもある話。残った予算で賄える低年俸の若手でポジションを埋めればチーム編成としては間違っていない。もちろんそんなうまい話がホイホイとあるわけはなく、この若手の伸び悩みがヤンキース低迷の2つ目の理由だ。

 そもそもヤンキースのマイナー組織は再三の大物獲得の代償として有望株たちの切り売りを繰り返した結果、数年前から焼け野原だった。それでも残したトッププロスペクトたちからグレイバー・トーリス内野手やミゲル・アンドゥハー内野手、ドミンゴ・ヘルマン投手らの台頭はあった。期待ほど伸びなかった感はあるものの今季20本塁打を放っているトーリスはともかく、アンドゥハーは大谷翔平(エンゼルス)と新人王を争った2018年だけの活躍に終わってすでにお払い箱になった。

 ヘルマンは今シーズン完全試合を達成したように高いポテンシャルを証明してはいるが、かつてDVでの出場停止処分から引退騒動を起こしたり、今季もアルコール依存症の治療のため制限リスト入りして8月初めから離脱するなど素行面の問題を抱えている。18年に19勝を挙げたセベリーノもトミー・ジョン手術による長期離脱という不運はあったものの、19年以降は3勝8敗の今季を含めても合計12勝しかしていない。

 今季の若手では22歳のアンソニー・ボルピ内野手が出塁率などの課題を残しつつも20本塁打・20盗塁の達成が見えてくる活躍。しかしオズワルド・カブレラ外野手やオズワルド・ペラザ内野手、ジョニー・ブリトー投手らは物足りなく、故障者続出で回ってきたチャンスを生かし切れていない。

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