ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジ(AP/アフロ)
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 かつて金満補強を繰り返して「悪の帝国」とまで呼ばれたヤンキースが、今季は現地27日時点で62勝68敗と大きく負け越し。プレーオフ争いから脱落どころか、東西2地区制だった1990年以来となる地区最下位でのシーズン終了も現実味を帯びてきた。

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 ヤンキースはチーム編成に大金を投じなくなったわけではない。今季開幕時の年俸総額はメッツに次ぐ約2億7800万ドル(約410億円)だった。苦戦の直接的な理由は主砲アーロン・ジャッジ外野手をはじめとする故障者続出だ。ただし原因はそれだけではなく、今季の低迷はヤンキースがここ数年間にわたって抱えてきた構造的な欠陥が表面化したとも言える。

 まずひとつは、一部の主力選手と長期の大型契約を結んでいるため、実は補強に使える資金は総年俸額のインパクトほど大きくはないこと。2017年オフにトレードで獲得した指名打者ジャンカルロ・スタントンはマーリンズ時代の14年オフに北米プロスポーツ史上最高額(当時)となる総額3億2500万ドルプラス出来高ボーナスの13年契約を結んでおり、今季の年俸額は3200万ドルだ。

 ジャッジとも22年オフに9年総額3億6000万ドルで再契約し、1年あたりの年俸額は4000万ドル。エース右腕のゲリット・コールも19年オフに9年総額3億2400万ドルで契約しており、1年あたりの年俸額は3600万ドル。この3人だけで合計1億800万ドルとチーム総年俸の4割弱を占めている。

 このほかにも元首位打者のDJ・ラメーヒュー内野手とは20年オフに6年総額9000万ドル(1年あたり1500万ドル)で再契約し、昨年オフに球団オプションを行使して契約延長したルイス・セベリーノ投手の今季年俸は1500万ドル。21年のオフに再契約したアンソニー・リゾ一塁手の今季年俸は1700万ドルで、今シーズン途中に放出したアーロン・ヒックス外野手とは18年オフに7年総額7000万ドルの契約を結んでいたため今季年俸は約1000万ドルだ。先の主力3人にこの4人を足すと1億6500万ドルで総年俸の約6割となる。

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