「環軸椎亜脱臼(かんじくつい・あだっきゅう)に伴う脊髄症・脊柱管狭窄症」であるということがわかり、長らく入院生活を送っていた天龍さん。6月22日に退院し、すぐにイベント出演など、精力的に活動を再開。今回は天龍さんに、基本や基礎に関する思い出、考えを語ってもらいました。
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まず俺が相撲で教わった大切な基礎は、努力と我慢だ。13歳で相撲の世界に入って、地位が上の人がいると、当然、小僧の俺は我を通すことができない。ぐっと耐えるか、辞めるか、それしか選択肢がないからね。
ある程度社会を知った後に入れば「やってられるか!」と思ったんだろうけど、なんせ13歳の嶋田少年は「こんなものなんだろう」と思っていたから我慢できた。前回の記事で、双眼鏡を忘れただけでかわいがりをされて「こんな社会はおかしい!」と言って辞めたやつ、あいつの方が常識人だったよ。
技術的なことはというと、相撲取りの基礎はやっぱり四股と鉄砲、股割りだ。俺が65歳までプロレスで現役を続けられたのは、四股を踏んで鍛えられた足腰の強さが大きな要因のひとつだったと思う。
朝から力士40~50人が外に出て四股
相撲に入門して2カ月はまだからだが出来ていないから、稽古といえば四股を踏むことしかできない。朝6時から力士40~50人が外に出て、「いち、に」と大きな声を出して四股を踏むんだ。今だったらすぐにクレームが入るだろうけど、当時は近所の人から「うるさい」と文句を言われたことは一度もない。いい時代だったね(笑)。