帰宅困難者に地下鉄の被災など、首都直下地震では都市部ならではの課題が浮き彫りに(撮影/写真映像部・高野楓菜)
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 いつ起こるかわからない大地震。その発生を予知するために日夜研究に励む研究者たちがいる。地震予知連絡会・山岡耕春会長もその一人だ。地震研究の実情とこれからについて、山岡会長に聞いた。AERA 2023年8月28日号より。

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 南海トラフ地震は100年以内に確実にやってきます。しかし100年後でも、「数時間以内に発生」といった形で予測することは難しいでしょう。首都直下地震のような内陸地震は、さらに困難です。

 地震の世界は、現象が発生する頻度がとても低く、実験も難しい。そこが他の科学の対象と違うところです。起きるのを待つしかない。日本列島は地震が多いとはいえ、100年観測しても足りないことはたくさんあります。しかし被害を受ける人たちが多く住んでいるわけですから、一生懸命研究して、完璧な予測ができない段階でも、成果を社会と共有していくしかないと思います。

 南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合などに、気象庁から「調査中」「巨大地震注意」などのキーワードをつけた「南海トラフ地震臨時情報」が出されるようになりました。どういうものか多くの人はまだ理解していないと思います。わかりにくいという声も聞いています。それは仕方なくて、実際に臨時情報が目の前に出された時に、多くの人は「これは何だ」と初めて考えるわけです。臨時情報が出された、でも地震は起きなかった、という「空振り」を何回かみんなで体験することで、考えて、努力して上手な情報の使い方を理解していくしかないと考えています。

 地下に歪(ひず)みが刻々とたまっていく様子は、だいぶ観測できるようになってきました。GPSのような全地球航法衛星システムが1980年代から発展してきた成果です。

「デジタルツイン」進む

 しかし、どこまで歪みがたまったら地震が起きるか、そこがよくわかっていません。地震を起こしやすくする現象にどんなものがあり、どのぐらい地震を発生しやすくするのか、そんな研究も途上です。

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