まずリニア中央新幹線のトンネルに沿って光ファイバーを張らせてもらえると面白いでしょうね。南アルプスや中央アルプスにどんな力が加わって、どう歪んでいるか、リアルタイムで測れるようになります。
前兆を探して予知する研究、特に電磁気的な方法は、観測にお金がかからないので、いろんな人が参入してきた歴史があります。「地震の前にこんな現象があった」と注目される。しかし検証してみると偶然と比較して大きな差がない、あるいは前兆がない場合もあるとわかって、消えていく。今後もそんなことが繰り返されることでしょう。しかし地道にデジタルツインを進めていく路線のほかに、そういうとんでもないことを手がける人たちがいてもいい。
研究者は基本的に楽観的で、失敗に強くないとだめです。大学は、失敗するのが仕事だとも思っています。100失敗する中で、一つぐらいすごいのが出てくる。そんな環境を作ることも大学では重要だと思っています。
(ジャーナリスト・添田孝史)
※AERA 2023年8月28日号