活動休止中もミセスの人気に陰りは見られず、むしろ知名度が上がった印象もある。その最大の理由はストリーミング。「インフェルノ」「点描の唄 feat.井上苑子」が再生回数4億回超え、「ダンスホール」「僕のこと」が3億回を突破するなど、圧倒的な強さを誇っているのだ。また「ダンスホール」を使ったダンス動画がTikTokでバズるなど、SNSでも話題に。バラエティー豊かな楽曲の魅力も相まって、活動再開後もファン層を大きく拡大し続けている。ビジュアルの変化を含め、見事なモードチェンジだったと言えるだろう。

■結成10周年で初のドームライブ

 今年7月にニューアルバム「ANTENNA」を発表し、大規模なアリーナツアーを開催。その直後に行われたドーム公演は、10周年の集大成にふさわしい内容となった。

さながらテーマパークのようなライブ会場(撮影/田中聖太郎写真事務所)

 ドームのステージに建てられていたのは、海に沈んだ伝説の都市“アトランティス”を想起させる神殿風のセット。3人はニューアルバムの収録曲「ANTENNA」からライブをスタートさせた。

 2015年リリース1stシングル「Speaking」では観客の大合唱によって――今年の夏から“声出し”が本格的に解禁された――心地いい一体感が生まれた。自動制御されたペンライトの光も鮮やかだ。

「サママ・フェスティバル!」ではメンバー3人が花道に進み、観客の間近でパフォーマンス。無数の噴水、ウォーターキャノンの噴射によって水を使った夏らしい演出も。バンドの枠を超えたステージングによって、客席を埋め尽くした観客(親子連れも多数)を魅了した。

水を使った壮大な演出(撮影/田中聖太郎写真事務所)

 さらに「アンラブレス」「アボイドノート」では質の高いバンド演奏を聴かせ、ポップチューン「Love me, Love you」では大勢のキャストとともに華やかなパフォーマンスを繰り広げる。個人的にもっとも心に残ったのは、アルバム『ANTENNA』収録曲「Soranji」(映画「ラーゲリより愛を込めて」主題歌)だった。光と陰を強調したライティングのなかで、生きることの意味、どんな状況であっても“明日”を目指す姿勢を描いたこの曲は、ミセスの音楽的な深さを強く示していた。

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