サッカー好きの英国人オスカー・ロバーツ氏は2009年に仕事の関係で来日以来、時間があれば日本中を旅してサッカー観戦を行なっている。Jリーグから地域リーグまで、訪れたスタジアム数は50を超えるロバーツ氏に日本のサッカー場について聞いた。
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7月26日、マンチェスター・シティFC(英・プレミアリーグ)対FCバイエルン・ミュンヘン(独・ブンデスリーガ)のプレシーズンマッチが国立競技場で開催された。世界トップクラスの対戦に多くのファンが詰めかけた中、ロバーツ氏も観戦に訪れていた。
「ロンドン出身でトッテナム・ホットスパーの大ファン。真剣勝負ではなくてもプレミアのチームを見られるのが嬉しい」
対戦する両チームのものではないが白色のユニホームの背中には「Keane(ロビー・キーン)」の名前が刻まれていた。
「国立はJリーグ、天皇杯を含めて5回目。1階から最上段まで行ってみたが悪くない。ゴール裏は陸上トラックが気になるがメインとバックではそれを感じない。個人的にお薦めは上段席からフォーメーションを楽しむこと。席間も以前の国立に比べれば広くなった」
2021年に行われた東京五輪のメイン会場として建設された国立は「サッカー専用ではないため見にくい箱」と言われるが、席を選べば快適な観戦ができると語る。また酷評されることもある座席間の狭さに関しても、日本人より大柄なロバーツ氏でも許容範囲だという。
国内の重要大会やビッグマッチで使用される国立について語ってくれた後、実際に足を運んだ全国のスタジアムについて聞くと、試合の見え方やロケーションなど印象に残った箱を挙げてくれた。
「サッカー専用で最新式のパナソニックスタジアム吹田(ガンバ大阪、以下カッコ内は本拠地チーム)やサンガスタジアム(京都サンガ)、ミクニワールドスタジアム北九州(ギラヴァンツ北九州)が素晴らしいのは当然。でも、古くても陸上兼用でも素晴らしい箱はたくさんある」
~試合の見やすさ(観戦環境)に特化した箱
「サッカー専用は基本的に見やすいが、席種によってはそうでない場合もある。例えば、埼玉スタジアム2002(浦和レッズ)のゴール裏は傾斜がなくピッチまでの距離もあるので意外と見にくい部分もある。陸上トラックがあっても上段席へ行けば俯瞰で試合を楽しむことができる箱もある。等々力陸上競技場(川崎フロンターレ)の2階席は見やすい」