
イヴ・モンタンのシャンソン「枯葉(かれは)」で始まり、越路吹雪へ。「クラシック音楽では?」と問いをたててモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」へと展開し、長唄の要素を取り入れた橋本國彦の歌曲「舞」で「日本」へと河岸をかえていった。
東海林太郎、三波春夫、石原裕次郎、榎本健一、渥美清、山本直純、さだまさしへと物語を紡ぎ、美空ひばりがカバーした「マック・ザ・ナイフ」でその日は着地した。
曲が流れている間の片山は赤いボールペンを軽快に振り、多幸感に満ち満ちた様子がガラス越しに伝わるほど。古今東西の曲目が流れ、とりわけ浪曲、歌謡曲が続いたときは「どんな脈絡?」と戸惑いもしたが、後日、放送で聞き直してみるとストンと落ちた。こう結んだのだ。
「今回は狭義のクラシック音楽が取りこぼしてしまったとも言える『台詞と歌』の中間、あいまい領域の、特に日本的発展みたいなところに焦点をあてる形でお届けしました」
忌避されがちだった戦時下の作曲家掘りおこす
選曲・構成は吉田がそうだったように片山に一任されている。組み立ての妙は評論を読む人、ラジオを聞く人をうならせる。