ツボにはまると強いが、勢いだけでシーズンを勝ち切れるほど甘くない。今月6日の阪神戦は、DeNAに欠けている課題が明確に浮き彫りになった試合だった。1点差に追い上げた七回1死二、三塁の好機で、「1番、左翼」で起用した佐野に代打・楠本泰史を送ったが遊飛に倒れるなど無得点。八回1死一、三塁の好機も蝦名達夫が空振り三振、大和が中飛に倒れた。相手を上回る8安打を打ちながら拙攻で2得点のみ。1点が必要な好機の場面で奪えない。個々の選手の勝負弱さ、ベンチの戦術の引き出しの少なさを露呈した。
優勝を狙うチームに変貌するためには、野球の質を高めなければいけない。現有戦力の底上げと共に、戦力補強が必要になってくる。DeNAを取材するスポーツ紙記者は、米国・独立リーグでプレーする筒香嘉智の復帰が、「一番の補強策になる」と力説する。
「今のDeNAに必要なのは雰囲気を引き締める選手だと思います。お祭りのような明るい雰囲気がチームカラーですが、勝つ集団になるためには厳しさも必要です。筒香がDeNAで主将を務めていた時、明るさの中にもピリッとした緊張感があった。復帰すれば、主将を務める佐野の負担も軽減されて良き相談相手になれる。もちろん、長距離砲としてもう一度輝きを取り戻してほしい。6、7番でスタメンに入れば破壊力抜群の打線になると思います」