この結果は人種差は特になく、日本人にも十分当てはめられるという。
現在、免疫チェックポイント阻害薬による治療は、ドライバー遺伝子変異がないとわかった患者に対して、免疫チェックポイント分子である「PD-L1」 の発現を調べる検査で、その発現の度合いによって治療が決められている。
PD-L1の発現が50%以上で全身状態が良好な場合は、免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダ、テセントリク(一般名アテゾリズマブ)が、単剤での効果が認められている。その他に、免疫チェックポイント阻害薬と抗がん剤などを組み合わせる治療が4種類ある。単剤で効果が出ない場合は、併用療法をおこなったほうが生存期間が延びるという。
PD-L1の発現が1〜49%の場合は、タイプの違う免疫チェック阻害薬2剤とプラチナ系抗がん剤を組み合わせる3剤、あるいは4剤を併用した組み合わせ治療が有効だ。
PD-L1の発現が1%未満の場合は、タイプの違う免疫チェックポイント阻害剤2剤、あるいはさらにプラチナ系抗がん剤を加えて組み合わせた3剤の併用療法が有効だ。
「現在、免疫チェックポイント阻害薬は6種類に増えています。今後はさらに増えていくでしょう。それに伴って次々とさまざまな薬剤との組み合わせによる併用療法が増えていきます。免疫チェックポイント阻害薬は一度効果があると治癒に近い状態にまでいけるという期待が大いに持てるのです」(高橋医師)
PD-L1発現のあるなしに関わらない患者の国際臨床試験も
前出した「KEYNOTE024」という臨床試験の5年生存率31.9%は驚異的な数値だが、この対象患者は、PD-L1の発現が50%以上の人だった。いわば、効果を見込める人に対象を絞り込んだうえでの結果だ。
一方、「KEYNOTE189」という国際臨床試験では、PD-L1発現のあるなしに関わらない患者が参加した。この試験の結果は22年に発表された。5年生存率は「KEYNOTE024」には劣るものの、キイトルーダと抗がん剤2剤(プラチナ系とアリムタ〈一般名ペメトレキセド〉)の3剤併用の治療が19.4%と、従来の2倍程度の結果となった(偽薬と抗がん剤の群は11.3%)。