スケールの大きさで成田以上のものを感じさせたのが平井智大(駿台甲府)だ。昨年秋は県大会で準優勝を果たしたものの、続く関東大会では初戦で作新学院に0対10で5回コールド負けと大敗。その悔しさをバネに春以降は大きく成長し、この夏は最速151キロをマークするまでになった。少し上半身が強いフォームで制球にはばらつきがあるものの、190cmの長身から倒れ込むように投げ込み、指にかかった時のボールの勢いと圧力は圧倒的なものがある。7月22日の準決勝ではセンバツ優勝の山梨学院を破る立役者の1人となった。チームは決勝で東海大甲府に敗れて惜しくも甲子園出場は逃したが、今夏に評価を上げることに成功している。

 西日本で急浮上してきたのが河内康介(聖カタリナ)だ。1年秋から投手陣の一角となっていたが、昨年はチーム内の不祥事もあって夏、秋ともに出場なしに終わっている。しかし春以降は着実に力をつけ、この夏の愛媛大会では初戦で148キロ、3回戦では150キロをマークするなど驚きの成長ぶりを見せた。スピード以上に素晴らしいのがそのフォームで、テイクバックでスムーズに肘が高く上がり、バランスの良さも目立つ。変化球はスライダーだけでまだまだ課題はあるものの、フォームとストレートに関しては誰が見ても良いというレベルにあることは間違いない。

 野手でこの夏に評価を上げているのが横山聖哉(上田西)と百崎蒼生(東海大本星翔)のショート2人だ。横山は6月18日に公開した『高校生では“二刀流の逸材”が浮上 今年のドラフト「サプライズ1位指名」可能性あるのは』という記事でも取り上げたが、この夏も初戦(2回戦)の伊那弥生ケ丘戦、続く3回戦の岩村田戦と2試合連続ホームランを放つ活躍を見せている。また守備ではプロでも上位に入る強肩が大きな武器で、深い守備位置も一際目を引く。総合力では高校ナンバーワンという評価は定着しており、高い順位でのプロ入りの可能性は高いだろう。

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