今年の大学入学共通テストの試験風景=東京都文京区の東京大学
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 昨今の大学入試のトレンドと呼応するように、生成AIの台頭で受験勉強に変化の波が押し寄せている。受験生はChatGPT(チャットGPT)とどう向き合えばいいのか。AERA 2023年7月10日号の記事を紹介する。

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 受験とChatGPTの関係を考えるうえで欠かせないのは、今の大学入試のトレンドだ。

 21年の大学入試改革以降、共通テストでは、思考力や判断力を測るための問題が増えている。また、私立大の入学者の約5割が総合型選抜や学校推薦型選抜によって合格している時代だ(22年度)。選考の中心は、筆記試験から書類審査や小論文、面接に移りつつある。大手予備校講師で、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)の共著などがある武川晋也さんは、

「推薦入試の志望理由書や課外活動歴、小論文を書く時に、自分の体験をChatGPTに入れてみるといいと思う。対話のキャッチボールをするにつれて内容が深くなり、より良い文章ができあがるでしょう。この使い方は、今後定着していくのではないか」

 と話す。

「ChatGPTを使うことは倫理観に反する」というお堅い批判もあるが、AIを用いたプロダクト開発会社「LifePrompt」取締役でエンジニアの遠藤聡志さん(24)は、首を振る。

「ゼロか100ではない。自分の体験と本質を引き出してもらうというスタンスでChatGPTと向き合い、エピソードを深掘りする。その結果を志望理由書や小論文にまとめることに何の問題もないと思います。面接や就活でも活用できる。自分専用の進路指導の先生がいるようなもので、受験生にとってはとても心強いツールになるでしょう」

 大学入試の変化に加えて、生成AIの登場。受験業界でも、変化の波に乗れるか、乗れないかで差がつきそうだが、大学通信情報調査・編集部部長の井沢秀さんは、受験の大前提を、こう強調する。

「入試は大学から『こんな学生がほしい』という受験生へのメッセージです」

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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