■大学も生き残りかけて

 そのメッセージに近年、より各大学の個性がにじむようになっているという。

 例えば、早稲田大学政治経済学部では、21年の一般選抜から共通テストの数学I・Aを必須にして、2次試験で記述式を課した。難易度が増した結果、同学部の倍率は学科によっては3倍を切り、早稲田全体の出願者数も1970年代中盤以降、ずっと維持してきた10万人を割り込む結果となった。だが、

「ハードルの高い入試は、我が大学に見合う優秀な学生を確保したいという想いの表れ。生き残りをかけた入試とも言えます」(井沢さん)

 青山学院や上智など、人気の高いほかの名門大学でも、記述式の入試を導入する大学が増えているという。井沢さんは、こう締めくくった。

「ChatGPTで瞬時に解答を得られる時代ではあるけれど、きちんと自分で物事を考えることができる学生に来てほしいということです。便利なツールをどう使いこなすかが問われていることは間違いありません」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年7月10日号より抜粋

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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