新たな書類を作成する際もクラウド上に保存していく。
「すると、Aさんが途中までつくった書類を簡単にBさんが引き継げるだけでなく、その書類を見たほかの役員がコメントしたり、そこから新たなアイデアが生まれたりするようになった」(同)
作成した書類を14人の役員全員が共有するようになると、お互いに仕事の中身が見えるようになった。
「この人、忙しそうにしているけれど、こんなことまでやっているんだと、わかるようになると、ほかの役員が『よかったら、手伝いましょうか』と、声をかけやすくなり、仕事の分担が進みました。会議に出られなくても、PTAの業務がスムーズに進むようになりました」(同)。
■学校に集まる必要があるのか
PTA’Sの増島佐和子代表はサービス提供の背景をこう語る
「本来、PTAは子どもたちのためのボランティア活動のはずなのに、ほとんどの保護者は『仕方なく』活動に参加している現状がある。それを少しでも変えたいんです。今のPTAの一番の問題点は、運営することが目的化していること。会議を開催しても、発表者が短い文章を読むだけで、ほかのみんなは黙っている。つまり、話し合うことが目的ではなくなっている。そういう状況は本当によくない。報告だけであれば、メッセージのやりとりで十分です」
ちなみに、PTA’Sの運営は企業からの広告費などで成り立っており、「PTAさんからお金はいただいておりません」(同)。
増島代表のもとには「子どもの小学校入学を機に再就労しようと思ったけれど、PTAで昼間に集まらなければならないので諦めた」「昇進の声がかかったけれど、平日に頻繁に学校に行かなければいけないので躊躇した」など、PTAにまつわる悩み相談も寄せられる。
増島代表は今後のPTAのあり方についてこう語る。
「今のPTAは女性の社会進出や男性のPTAを含む育児参加の障壁になっていると感じます。コロナによって、やらなくても誰も困らなかったPTAの業務があぶり出されました。それを踏まえて、どの業務を復活させるのか、今が取捨選択するいい機会ではないでしょうか」
旧態依然としたPTA活動を変える一助となるか。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)