「コロナ明け」で、効率化できるPTA業務があぶり出されてきた。写真はイメージ(PIXTA)
「コロナ明け」で、効率化できるPTA業務があぶり出されてきた。写真はイメージ(PIXTA)
この記事の写真をすべて見る

 今、全国でPTAに対する不満の声がフツフツと湧き上がっている。「コロナ明け」で、活動を再開したPTAにうんざりしている子育て世帯は少なくない。その最たるものがPTA会議への出席だろう。メール1本で済むような報告のために仕事を休まなければならない。それによって、有休を使ってしまい、自分の子どもと過ごす時間が削られてしまう、といった本末転倒のことが起こっている。そんななか、PTA業務の効率化と保護者の負担軽減を後押しする新しいサービスも登場している。

【マンガ】子どもが「村八分」状態に…PTA非加入のリアル

*   *   *

 千葉県流山市にある市立小山小学校。同校では、毎朝、学区内の横断歩道や交差点、約30カ所に黄色い旗を持った保護者が立つ「旗当番」がある。

 だが、同校のPTAはこの「旗当番」について悩みを抱えていた。峰松拓毅PTA会長はこう話す。

「小山小は児童数1700人を超える大きな学校なので、これまですべての保護者の希望を聞いて、旗当番のシフトを手作業で作成することは困難でした」

 保護者のなかには仕事の都合などで、決められた日に旗当番を引き受けられない人もいる。しかし、それを考慮することはできず、旗当番を機械的に割り振らざるを得なかった。保護者の不満は高まり、旗当番を決める地区委員のなり手もいなくなった。そこで、峰松会長が考えたのは、保護者の希望に応じて旗当番を決められる「旗当番シフト作成ツール」の導入だった。

 保護者はメールで届いたGoogleフォームに旗当番を希望する月や日、場所など7項目を記入して送信する。それを新開発のシステムに読み込ませると、自動的に旗当番のシフトが出来上がる。これによって地区委員は必要なくなり、廃止された。

「旗当番に参加できない方もいらっしゃいますから、Googleフォームに『免除希望』という項目もつくりました。それに対する保護者の不満の声は上がっていません。自分である程度日程を決められるので、前向きに旗当番に参加できるという保護者が増えました。PTAはボランティア活動ですから、自主的に活動していただける環境を整えることが大切です。このシステムを導入したことで、それが一つ実現できたと思います」(峰松会長)

次のページ
「印刷物が7割も減った」