ゴールデンボンバーのボーカル、鬼龍院翔さん。作詞・作曲のほか、ライブの演出、脚本、ステージ構成も担当している(撮影/今村拓馬)
ゴールデンボンバーのボーカル、鬼龍院翔さん。作詞・作曲のほか、ライブの演出、脚本、ステージ構成も担当している(撮影/今村拓馬)
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 ゴールデンボンバーのボーカル・鬼龍院翔が書籍『超!簡単なステージ論 舞台に上がるすべての人が使える72の大ワザ/小ワザ/反則ワザ』をリットーミュージックから出版した。

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「興味のない人の心の扉を開くのは、音楽よりも共感と愛着。」

「可能性を狭める意見は、基本的にすべて無視。」

冒頭から膝を打つような言葉が並ぶ。ゴールデンボンバーのリーダー・演出担当として、20年近くステージに上がり続けている鬼龍院。「女々しくて」のリリースから約14年が経った現在もエンタメシーンの真ん中で活躍している彼が、ステージに立つ人間が“音楽以外にやったほうがいいこと”をまとめたマニュアル本だ。

■音楽に対する幻想(過信)を捨てる

「ステージは見やすさを第一に考える」「メンバーの見せ場作りは、演奏技術よりトーク重視」「理想のお客さん像を押し付けることはやめましょう」というような具体的なアドバイスも多く示されている。

「バンドに限らず、ソロシンガー、アイドルの方など、ステージの上に立つ全員に役立つことをまとめました。他のバンドを見ていて、“ここに気をつければ、お客さんの満足度が全く違ってくるのに”って思うことがあって。あと、年下のバンドマンからアドバイスを求められることも増えたんですよ。ざっくり言うと“どうしたら売れますか?”という話なんですけど、いつも同じようなアドバイスをしてるんです。あるとき“これを本にしたら、自分に質問できない人にも届くんじゃない?”と思ったんですよね」

「この本に書いているのは、“どんな曲か説明してから演奏しましょう”とか、当たり前のことばかり。意外とそれができないんですよね」という鬼龍院。根本にあるのは「音楽に対する幻想(過信)を捨てる」という考え方だ。

「純粋に音楽だけで聴衆を惹きつけられる人は天才。漫画『BECK』のように、演奏した瞬間に注目を集めるなんてこと、実際は起こりません。そこで考えなくてはいけないのは、どうすれば聴いてもらえるか、ライブに来てもらえるか、楽しんでもらえるか、ということ」

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