GISTデータ
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 変異を起こすのは主にキット(c−kit)とPDGFRAという二つの遺伝子で、そのうちキット遺伝子が変異している患者が75%を占める。遺伝子変異が起きる原因や変異を防ぐ方法、また生活習慣との関わりなどは今のところわかっておらず、明確な予防方法もまだない。国立がん研究センター東病院総合内科長・腫瘍内科の内藤陽一医師は、次のように言う。

「一般のがんに比べれば確かに発生率は低いですが、悪性度が高いものは治りにくく非常に難しい病気です。粘膜下腫瘍が見つかったら、小さくても決して放っておかないことが何より重要です。大きくなればなるほど手術がしにくくなり、またもし破裂したりすると、がん細胞がおなかの中に散る播種を起こし、転移の原因にもなります」

 健診などの通常の内視鏡検査で粘膜下腫瘍が発見された場合には、まず超音波(エコー)機能の付いた超音波内視鏡での検査をおこない、腫瘍の大きさや悪性の所見がないかなどの評価をおこなう。悪性を疑わせる所見があれば、組織を採取して顕微鏡による検査(生検)をし、遺伝子変異が確認されればGISTと確定診断される。

 GISTでは、生検の方法にも注意を要する。一般的な生検では組織を採取する際、体の外側から針を刺す方法と内側から刺す方法の二つがあるが、GISTの場合は必ず内視鏡などによって、からだの内側から採取することが重要である。外から針を刺すと針を抜く際にGISTの細胞が周囲に散らばり、播種を起こすことがあるからだ。

「2022年に改訂されたGISTのガイドラインにはその旨の記述があるのですが、患者数の少なさもあってなかなか周知が徹底されていないのが実情です。超音波内視鏡をおこなっている病院や医師であれば知識があるはずなので、健診で粘膜下腫瘍が見つかった場合には、GISTの専門医または内視鏡の専門医を受診していただければと思います」(内藤医師)

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専門医のいる病院を受診することが望ましい