――なるほど。
阪大では特任助教から助教になり、居心地は良かったんですけれど、将来に対する不安は普通にありました。JST(科学技術振興機構)の「さきがけ研究員」には何度も応募しましたが、全然ひっかからなかった。4回目に分野を変えて「恒常性」について研究する領域に応募したら、2期生として採用されました。これは嬉しかった。いただいた研究費で、神経系と血管系の「臓器間ネットワーク」を研究しました。
私は何になりたいという強い意志があったわけではないんですけど、さきがけに通る(2013年)とか、文部科学大臣若手科学者賞を受ける(2014年)とか、その都度その都度、何か励まされるイベントがあって、何とかつないできた感じです。
■同級生との結婚は「勢いですね」
――結婚はいつですか?
阪大に来て2年後ぐらい。相手は、東大の博士課程時代の同級生です。そのときはただの同級生でしたが、すごくいろんな話をしました。私、自覚はないんですけど、「研究バカ」(笑)らしいので、どうしたらもっと面白い研究ができるか、みたいな話を周りの人にしょっちゅうしていた。それによく付き合ってくれました。
彼は博士課程を終えて製薬会社に就職し、茨城県つくば市で研究員をしていました。友人の結婚式で久しぶりに再会し、それで付き合うことになった。
――はあん、よくあるパターンですね。でも、大阪とつくばと離ればなれですよね。どうして結婚することに?
勢いですね。アカデミア(学術界)って異動が結構ある職種なので、離ればなれでも将来的に私が関東に行けばいいかなと思った。あんまり考えずに決めましたね。
彼のご家庭は、お父さんが単身赴任を結構されていて、お母さんはニューヨーク生まれで多様性に対する理解がある方で、むしろうちの親のほうが「えっ」となっていました。ただ、アカデミアは異動があることは親も経験してわかっていたので、「あ、そうか」となりました。
――結婚してまもなく1人目が生まれたんですね。
産休の間は実家に帰って、研究費の申請書をたくさん書いていましたけど、全部落ちました。一方で、産休を取る前に出した論文について、「追加実験をしたら掲載する」という返事が来て、復帰したらすぐ追加実験をしました。