■意思を実現するために介護サービスを利用する

 介護にかかわる制度やしくみ、サービスは、あなたの意思に沿って選択し、じょうずに活用することで、初めて生きてきます。制度やサービスがあるから安定した生活ができる、幸せになれる、ではないのです。制度やサービスは意思を実現するための道具にすぎません。

 親が救急病院に運び込まれてから、急性期病院の退院~回復期病院への転院~回復期病院の退院まで、通常、2~3カ月は時間があります。この間に家族と話し合って、親の気持ちや希望を大切にしつつ、自分の幸せについて意思を固める、そして医師などの医療スタッフやMSW、ケアマネジャーなどに相談すれば、なんらかの道筋はつけられるでしょう。医療からスタートした相談を、地域包括支援センターなどの地域に広げていけば、その先にもまだ選択肢は必ず用意されているはずです。

「私たちはどうしたらいいのでしょう」ではなく、「こういうふうな生活をして、このような幸せを守りたい。そのためにはどんな施設がふさわしいですか」という問いかけから、施設選びは始まるのです。

(構成/別所 文)

高口光子(たかぐちみつこ)

元気がでる介護研究所代表

【プロフィル】

高知医療学院卒業。理学療法士として病院勤務ののち、特別養護老人ホームに介護職として勤務。2002年から医療法人財団百葉の会で法人事務局企画教育推進室室長、生活リハビリ推進室室長を務めるとともに、介護アドバイザーとして活動。介護老人保健施設・鶴舞乃城、星のしずくの立ち上げに参加。22年、理想の介護の追求と実現を考える「高口光子の元気がでる介護研究所」を設立。介護アドバイザー、理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員。『介護施設で死ぬということ』『認知症介護びっくり日記』『リーダーのためのケア技術論』『介護の毒(ドク)はコドク(孤独)です。』など著書多数。https://genki-kaigo.net/ (元気が出る介護研究所)

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高口光子

高口光子

高知医療学院卒業。理学療法士として病院勤務ののち、特別養護老人ホームに介護職として勤務。2002年から医療法人財団百葉の会で法人事務局企画教育推進室室長、生活リハビリ推進室室長を務めるとともに、介護アドバイザーとして活動。介護老人保健施設・鶴舞乃城、星のしずくの立ち上げに参加。22年、理想の介護の追求と実現を考える「髙口光子の元気がでる介護研究所」を設立。介護アドバイザー、理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員。『介護施設で死ぬということ』『認知症介護びっくり日記』『リーダーのためのケア技術論』『介護の毒(ドク)はコドク(孤独)です。』など著書多数。https://genki-kaigo.net/ (元気がでる介護研究所)

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