『星屑の王子様』(茅原クレセ)
『星屑の王子様』(茅原クレセ)

――売春防止法違反でホストの男が逮捕されましたが、歌舞伎町でこの事件はどう受け止められているんでしょうか。

「いまさら?」みたいな感じの人もいれば、「それって捕まることなんだ」と思っている人もいると思います。当たり前のことすぎるんです。そもそも犯罪だってことを知らないケースも聞きます。

 これはあるホストクラブの話ですが、入店の時点で退店届も書くんです。というのも、捕まったときに「うちとは関係ないです」と店が言えるようにするためです。ニュースで元従業員とか無職の男ってなっていることがありますよね。背景にはそういう事情もあるんです。

――今回の事件は特別なことではなかったということですか。

 そうですね。以前からよく聞く話なので。

――それが逮捕されたことで、動きは変わったりするのでしょうか。

 最近はお客さんとSNSでやりとりすることが増えて、証拠もつかみやすくなりました。なので、気をつけようねという向きはあるし、客に暴力をふるって管理するといったことも以前よりは減っているそうです。ただ、本当かどうかは定かではないです。

――そういったやり方に罪悪感を抱いたりはしないんでしょうか。

 繰り返しているうちに慣れてしまうんです。罪悪感を持っていたとしても、周りは深く考えていないし「そんなものなのかな」とまひしていく。

――ご自身もキャバクラ嬢として夜の世界にいたことがあって、今もホストの方と交流がありますよね。悪いところをあえて描くのはどうしてですか。

 オレオレ詐欺ってありますよね。私は被害にあったことはないけど、手法は知っています。それは警察が「こういう形で誘導するから、気をつけてください」と発信しているものを見たからです。

 ホストには、お客さんは自分が勝手にハマったと言うんですけど、そもそも“ハマらせる手法”みたいなものが存在しているんです。それをわかったうえで楽しんでいる人もいますが昨今は歌舞伎町のカルチャーをファッションとして消費する動きがあって、若くて無知なお客さんが増えています。SNSやユーチューブでホストの世界に簡単に触れることができるので、お客さんが低年齢化しているんです。その人たちに知ってもらえればなと思いました。

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