『星屑の王子様』(茅原クレセ)
『星屑の王子様』(茅原クレセ)

――そうなんですね。ホストとキャバクラは互いに店を行き来しているイメージがあります。

 普通の人と同じでキャバ嬢でもホストにハマる人はいますし、ハマらない人は全然ハマらない。体感では半分半分です。でも、普通の職場でいえば高い割合ですよね。ホストもキャバ嬢も横のつながりを広げていく人は多いんじゃないでしょうか。

――『星屑の王子様』にはいろんなホストが出てきますが、言葉を選ばずに言うと最低だなと思う人ばかりです。「売れたいなら倫理モラル良識全部捨てろ」というセリフにもあるように、女性客のことを思って楽しませるというよりは、売り上げのことばかり考えて、借金をさせてでも来店させる。ホストクラブってひどい場所なんじゃないかとも思いました。

 人や店によると思います。ただ私自身、取材をしていてびっくりすることもありました。あるホストに、会って数時間で「キミ、風俗行ったら売れると思うよ」と言われたことがあって。「いや、早いよ」って(笑)。街でホスト同士の会話を耳にすると作品以上に聞くに堪えないです。

――作中でも、街を歩く男性が女性の容姿を点数化しているのに対して、ホストは「風俗での価値」を値付けしているシーンがありました。

 編集さんから聞いたのですが、あのシーンを読んだホストの方から「よく観察しているね」と感想をいただいたそうです。

――そのくらい日常化しているんですね。

 そういう行為をしていることを知られたとて、そんなに影響がないということでもありますよね。このシーンの話題になったときに、「私の値段も教えてほしい」と言ってくる女の子もいたみたいで。感覚が少しまひしているというか、ホスト側は風俗を勧めることについて重たく捉えていない人が多い印象です。

――茅原さんご自身も夜の世界にいて、ホストの知り合いも多いですよね。業界の負の側面を描く漫画が話題になって、ホストの方からの反応はどうですか。

 うーん……。取材を始めたころは「嫌がられるんじゃないか」と思ったりもしましたが、聞いたら答えてくれるし、「こうやって風俗誘うんだよ」って軽く話すんです。

 漫画になって世間に実態が知られても、たいして支障はないと思われているのかもしれません。あるホストの方は、「お客さんを殴っても次の日には店に来るんだよね」とさらっと言っていたり。こちらが思っている以上に「知られたところでお客は離れない」という感じがありそうです。

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「それって捕まることなんだ」