「週刊朝日」で28年間続いた、林真理子さんの対談企画「マリコのゲストコレクション」。最後のゲストは、「週刊文春」で対談をされている阿川佐和子さん。対談のホストとして互いを意識されてきたお二人。阿川さんの熟練された「聞く力」に、マリコさんも思わず口を滑らせ(?)ます。お二人の「対談哲学」も垣間見え、最後には阿川さんからまさかの提案が……
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阿川:長いあいだお疲れさまでした。はい、これお祝い。(革の袋に入ったシャンパンを手渡す)
林:まあ! ありがとうございます。最後のゲストは誰がいいかなと思っていろいろ考えたんだけど、やっぱり阿川さんしかいないと思って。
阿川:光栄でございます。
林:最後だから、シャンパン飲みながらパーッと……(担当編集者があわててメニューを開こうとする)あ、冗談、冗談(笑)。
阿川:ねえ、ちょっと私から伺っていい? 林さんはこの対談とか、ギネス世界記録に認められた「週刊文春」のエッセー(「夜ふけのなわとび」)、マガジンハウスの「anan」のエッセー(「美女入門」)、その他にも、日本文藝家協会の理事長をなさって超多忙なのに、その上、日大の理事長なんて、なんでそんな大変なことを引き受けたんですか?
林:だっておもしろそうじゃないですか。阿川さんもどうですか、「母校の慶応の塾長になってください」と言われたら。
阿川:ダメ、そういう能力はない。
林:例えばもし今、つぶれかかったどこかの女子短大から「立て直してくれませんか。好きなようにやっていいですから」って言われたら、おもしろそうだな、やってみようかなって思わない?
阿川:思わない。「おもしろそう」のベクトルが林さんとは違うんだな。それよりも、アニメ映画でおばあさんの声をやってほしいって言われたら、おもしろそうだなって思う。
林:そうだ、女優業もなさってるんですよね。
阿川:ちょっとだけね。
林:ドラマ「陸王」見ましたけど、演技がうまいんでびっくりしちゃった。映画にも出てますよね。
阿川:いちばん最近は「エゴイスト」という映画で、鈴木亮平君と宮沢氷魚君がメインの物語。