「コロナ禍の当初は看護学部の人気が上昇、次に薬学部が人気となり、今春は医学部の人気が顕著です。医学部は最難関ですので、コロナ禍で一気に社会情勢が変わったところで、すぐに他系統から志望変更することは難しいと思います。コロナ禍の体験が医学部人気につながったのが3年目の今春だったのは、そのためではないでしょうか」(岩瀬氏)
来年の医学部の受験はどうなるのだろうか。
「2月に新高3の模試があったのですが、そこでも医学科の人気は高い傾向にありました。少なくとも来春も医学部人気は続くと思われます」(同)
ただ、長いスパンでみると、国は医学部の定員を減らす可能性が高い。団塊の世代が亡くなっていくと医療の需要は下がる見込みだからだ。
岩瀬氏もこう話す。
「臨時定員増の動きも需要が満たされたことで、そろそろ廃止に動き始めるのではないかと思われます。医学科の定員が大きく減り始めると受験生に敬遠されるようになるのではないでしょうか」
医師が安定して高い収入を得られる仕事であり続ける以上、しばらく、その人気が衰えることはなさそうだ。コロナ禍の経験で医療を志そうとする人をはじめ、医学部を目指す受験生は頑張ってほしい。(河嶌太郎)
※週刊朝日 2023年6月2日号