「バッティングは楽しいし、それが恋しい気持ちもある」と打撃自体は続けたかったようだが、「正直言うと、これは自分の決断ではなく、球団の決断なんだ」と主に投手の能力を評価して指名したチームの意向に従ったと述べている。

 また、投手と野手の両方でプレーすることは体力的な負担もかなりあることにも言及しているように、「現実を鑑みて」いずれかの役割を取捨選択しなければいけないという事情もあったようだ。現在23歳となったグリーンは昨季メジャーデビューを果たし、今季はここまで2勝4敗、防御率3.93の成績。身体能力を含めポテンシャルはMLB屈指だが、若干苦しんでいる印象も受ける。仮に打者としてもプレーを続けていたら“共倒れ”になっていた危険性もあっただろう。

 他にも投手、野手の超一流プレーヤーも二刀流は“不可能の領域”にあると感じている。今年4月20日に『ニューヨーク・ポスト』に掲載された記事では、ヤンキースに在籍するメジャー有数の好投手ゲリット・コールと、昨年62本塁打を放ち自身2度目の本塁打王となったアーロン・ジャッジ外野手が二刀流の“凄さ”について言及している。

 2011年のドラフトで全体1巡目指名を受けるなど、米国野球界のエリート街道を歩んできたコールは「高校を卒業する頃には100マイル(約160キロ)の球を投げられるようになっていたけど、バッティングも野手としてプレーすることも好きだったよ。ただ、それを続けることはできないよね。でもオオタニは今や『メジャーでもそれは可能なんだよ』と人々をインスパイアしている」とコメント。さらに「高校卒業後は打撃は辞めてしまったけど、自分の能力には自信があった。でも、打者としてメジャーでプレーできたとは思えない」と不可能を可能にした大谷を称賛している。

 一方、昨年のホームラン王ジャッジはコールと同じく、高校時代は投手、野手の両方で名を知られる存在だった。現在は野手としてプレーしているが、当時は投手としての能力が高く評価されていたという。「多くのチームが打者というより投手として僕のことを評価してくれていたんだ」と明かすと、「(投手でプレーし続けた場合は)メジャーリーグでプレーするまでは腕が持たなかっただろうね。シーズンで200イニング以上投げることができるのは、特別な才能だから」とメジャーで投手としてプレーすることがいかにタフか語っている。

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大谷は今年、投打でどれほどの成績を残すか