そして投手のトレードがことごとく成功しているのがロッテだ。2020年には巨人で不調だった沢村拓一を香月一也との交換トレードで獲得。移籍後の沢村はそれまでの投球が嘘のように復調し、22試合に登板して1セーブ、13ホールド、防御率1.71という見事な成績でチームのクライマックスシリーズ進出にも大きく貢献した。このオフに海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャーに移籍したが、今シーズンは再びロッテに復帰。現在は二軍調整中だが、その存在感はいまだに小さくない。また翌2021年に有吉優樹との交換トレードで獲得した国吉佑樹も沢村と同様にシーズン途中の加入で大活躍を見せている。

 そして現在ブルペンを支える存在となっているのが昨年7月にヤクルトから獲得した坂本光士郎(山本大貴との交換トレード)と、今年3月に日本ハムから獲得した西村天裕(福田光輝との交換トレード)の2人だ。坂本は2021年の1勝、7ホールドがキャリアハイだったが、今年は既に21試合に登板して6ホールドをマークし、防御率も2点台と貴重な左の中継ぎとなっている。ヤクルト時代よりも明らかに制球力は向上しており、三振を奪えるのも魅力だ。

 西村も日本ハムではなかなか結果を残すことができなかったが、今年は開幕から21試合連続無失点を記録し、5月以降は勝ちパターンの中継ぎに定着。鋭く落ちるスプリットは大きな武器で、走者を背負った場面でも落ち着いた投球を見せている。他球団でなかなか力を発揮できていなかった投手をブレイクさせているという意味では、12球団でもトップと言えそうだ。

 その一方で結果として実を結んでいないトレードがあることも事実だ。その代表例が昨年7月に中日オリックスの間で成立した石岡諒太(中日→オリックス)と後藤駿太(オリックス→中日)のトレードである。特に不可解だったのが後藤を獲得した中日だ。この前年にも加藤翔平を獲得しており、この年は若手の岡林勇希がブレイクするなど外野のリードオフマンタイプは揃っている状況だった。

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7月末までに成立するトレードはある?