昨年は国内フリーエージェント(FA)で森友哉(西武→オリックス)、伏見寅威(オリックス→日本ハム)、嶺井博希(DeNA→ソフトバンク)、近藤健介(日本ハム→ソフトバンク)、海外FAで千賀滉大(ソフトバンク→メッツ)が移籍し、例年以上に活発だったFA市場。メジャーへ移籍した千賀はもちろんだが、森と近藤の2人も複数年の大型契約となっており、改めてFAが選手のキャリアについて大きな影響を与えることを感じたファンも多かったはずだ。
それでは今年中にFA権を取得、または取得見込みの選手はここまで順調なのだろうか。まず投手で最も争奪戦が激しくなりそうなのが加藤貴之(日本ハム)だ。二桁勝利を挙げたシーズンこそないものの、年々安定感は増しており、昨年はリーグ3位の防御率2.01をマーク。与四球11は長いプロ野球の歴史の中で最少記録だった。
今年もここまで10試合に先発して勝ち負けこそ4勝3敗ながら防御率2.25と安定した成績を残している。少ない球数で長いイニングを投げることができ、今年も既に2つの完投を記録するなど、試合を作る能力については現役選手の中でも屈指と言えるだろう。今年の年俸は1億3500万円(推定)だが、このまま順調に1年間を過ごして昨年と変わらない成績を残すことができれば、移籍となっても残留となってもかなりの大型契約を勝ち取る可能性は高いだろう。
加藤と並んで投手の目玉となりそうなのが田口麗斗(ヤクルト)だ。巨人では2度の二桁勝利をマークするなど先発の一角として活躍。2018年以降は少し成績を落としていたが、2021年の開幕直前にトレードでヤクルトに移籍すると見事に復活し、チームのセ・リーグ連覇にも大きく貢献している。マクガフ(現・ダイヤモンドバックス)の抜けた今シーズンは開幕から抑えに定着。低迷するチームの中でもここまで20試合に登板して12セーブ、4ホールドをマークし、防御率も1点台とクローザーとしての役割を果たしている。