先発としてデビューした頃はコントロールが持ち味だったが、リリーフに転向してからはスピードもアップし、現在ではコンスタントに140キロ台後半をマークする。ストレートが速くなっても制球力は変わらず安定しており、ピンチでも動じることなく力を発揮できるのも大きな魅力だ。また今はチーム事情もあって抑えを任せられているが、機会があれば再び先発として活躍できる可能性も十分にあるだろう。高校卒で今年で28歳とまだまだ若いだけに、投手陣の苦しいヤクルトはかなりの大型契約を提示して慰留に動くことも予想される。

 同じ投手で今年評価を上げていると思われるのが石田健大(DeNA)だ。規定投球回数に到達したのはプロ入り2年目の2016年だけで、それ以降はなかなか役割がはっきりしないシーズンが続いていたが、昨年は15試合に先発して7勝4敗、防御率2.95と安定した成績を残した。今年もここまで8試合に先発して勝敗こそ2勝2敗ながら、防御率は2.15とチームの先発投手の中でも最も良い数字を残している。

 昨年オフにもチームからは複数年契約を提示されながらそれを断って単年契約を選択したという経緯もあり、FA権を取得して迎える今オフには他球団と交渉する可能性は高い。また今シーズンの年俸は6200万円(推定)とそれほど高額ではなく、人的補償の発生しないCランクの選手であり、そういう点でも他球団からの注目も高いはずだ。貴重なサウスポーとして意外なFAの目玉候補となることも十分に考えられるだろう。

 一方の野手で評価を上げていると見られるのが若月健矢(オリックス)だ。プロ入り3年目の2016年から一軍に定着。過去3年間は他の選手との併用で出場試合数は100試合を下回り、今年は森の加入もあって苦しい立場になることが予想されたが、その中でも攻守に存在感を示している。特に成長が感じられるのが打撃面で、昨年は自己最高となる打率.281をマークし、今年もここまで打率.286と安定した成績を残している。

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若月は捕手だけに人気に?