20年以上にわたる自民党と公明党の“蜜月”は終わりを迎えるのか。次期衆院選に向けた東京都内の候補者調整をめぐり、自民党と公明党の亀裂が深まっている。5月25日、公明党の石井啓一幹事長は「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」として、東京での選挙協力を解消する方針を示した。だがこれまで、一部の自民議員は公明党の支持基盤である「創価学会」の票に頼ってきたことも事実。今回の「決裂」に自民の議員や関係者は何を思うのか。当事者を直撃した。
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自公連立は、当時の小渕恵三政権が小沢一郎衆院議員率いる自由党と連立を組み、公明党も引き入れた形で1999年10月に自自公連立として発足した。途中、民主党政権だった3年3カ月を除いても、それから20年以上にわたって、公明は支持母体である創価学会の集票力を武器に「組織票」を自民候補に提供してきた。
創価学会票は、衆院の東京の各選挙区で、1~2万票はあるとされてきた。次の選挙からその組織票がアテにできないとなれば、東京の自民党議員にとっては大きな痛手となりそうだ。
だが、自民党東京都連の深谷隆司最高顧問はこう話す。
「今まで公明党から選挙協力をしてもらっていた議員たちは、公明党からも『名簿を出してほしい』と要望されてきたんです。地元後援会の名簿は自民の候補者自身が使うので出せない。でも『選挙区以外でいいので出してください』と言われるので、候補者の友人、知人、関係者の名簿を出してきました。それを出さないと協力をしてくれない雰囲気ですから、私もさんざん出してきました。そういう意味では、一方的に票をもらっていたわけではなく、ギブアンドテイクの関係なんです」
そもそも今回、自公に亀裂が生じたきっかけは、公明が求めていた東京28区での候補擁立を自民が認めなかったことだった。衆院小選挙区の「10増10減」にからみ、公明は選挙区が増える東京、埼玉、千葉、愛知で新たな候補擁立を求めており、練馬区東部に新設される東京28区もその一つだった。結局、公明は28区での擁立を断念したが、既に候補者擁立を発表していた東京29区では自民からの推薦を求めない代わりに、それ以外の東京の全ての選挙区で自民党の候補者に推薦を出さない方針を発表した。