20年以上にわたる公明党との信頼関係が崩れつつある現状について、前出の深谷氏はこう語る。

「何も公明党を敵にまわそうと思っているわけではありません。しかし、こういう事態もあり得ると想定はしていましたから、自民党の重鎮議員たちは候補者に『自前で当選するようになれ』と発破をかけてきまた。私も今まで以上に発破をかけていきます」

 では、現職の自民党議員はどう考えているのか。

「私は公明党との選挙協力は一切していません」

 と断言するのは、東京17区の平沢勝栄衆院議員(77)。1996年の初当選以来、衆院選を9回連続で勝利してきた。選挙に強い秘訣は何か。

「一生懸命、地べたをはいつくばって、選挙区を回っているだけです。公明党から応援はもらっていませんが、もちろん、ケンカしているわけじゃない。公明党の支持者の方も票を入れてくれているのではないかと思います。要するに、自民党として戦うのはなく、『平沢党』で勝負しているということ。お会いした人に、1人ずつ個人と個人として向き合っています」

 公明党が東京の選挙区で自民党を推薦しないという方針を出したことは、どう感じているのか。

「別にビビる必要はないし、今まで通りやっていればいいんじゃないかな。公明党と選挙協力した方が、もちろん票は増えるでしょうが、同時に減る票もあることを忘れてはいけない。結局、(選挙は)フタを開けてみなければわからないんですよ。公明党の応援がなかったからといって、そんなに差が出るものなのかなと思うけど。別に公明党とケンカするわけじゃないんだから、普段通りにやって勝てるように持っていかなきゃ仕方がないと思いますよ」

 昨日の敵は今日の友――生き馬の目を抜く政界では日常茶飯事だが、その逆もしかり。はたして“落としどころ”は見つかるのか。解散総選挙のゆくえと共に目が離せない。

(AERA dot.編集部・上田耕司、板垣聡旨)

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