ところがリッチストライクは鞍上のS.レオン騎手の好騎乗もあって見事な追い込みを決め、ケンタッキーダービーを制してみせた。このレースには日本からクラウンプライドが参戦していたので、馬券を買って観戦していた日本のファンの多くが度肝を抜かれたことは想像に難くない。

 その後、G1ベルモントステークスは6着でクラシック二冠はならなかったリッチストライクだが、通算9戦2勝の現時点で総賞金はすでに201万6289ドル。しかもケンタッキーダービー制覇という何物にも代えがたい栄誉をたった3万ドルで落札した馬主たちにもたらした孝行息子となった。

 ここで取り上げた馬以外にも高額とは言えない価格で競り落とされた後に大活躍した馬は意外に多く、テイエムオペラオーやヒシミラクル、ジャスタウェイ、ナカヤマフェスタ、スーパークリークなどがいる。生まれたときから光り輝く良血馬が期待に応えて大成するのもいいが、逆境を乗り越えて花開く馬たちもまた競馬の醍醐味を教えてくれる欠かせない存在だ。(文・杉山貴宏)

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