野球のバッターとしては、ある意味「最大の敬意」の表れでもある敬遠。日本では世界のホームラン王である王貞治がシーズン記録の1位から3位までを独占し、通算記録も427個で、2位の張本勲(228個)、3位の長嶋茂雄(205個)を大きく引き離し歴代最多となっている。
今年はメジャーリーグでプレーする大谷翔平(エンゼルス)が、ここまでア・リーグでホームラン争い2位のヨルダン・アルバレス(アストロズ)らを抑え、9個で両リーグ1位となっている(以下、今季の成績は全て7月28日時点のもの)。他にも上位にはア・リーグ本塁打数トップのアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、メジャー屈指の強打者マイク・トラウト(エンゼルス)、ラファエル・デバース(レッドソックス)、マニー・マチャド(パドレス)ら錚々たる顔ぶれが並んでいる。
昨年もア・リーグでは46本塁打を放った大谷が最多の敬遠数を記録。ナ・リーグでは先日、4億4000万ドル(約597億円)の超大型契約を拒否したことでも日本で話題となり、現役最高の打者との呼び声もあるホアン・ソト(ナショナルズ)が2020年から2年連続でトップとなっている。このことからも、敬遠の数がいかに相手チームに認められた“強打者の証”であることが分かるだろう。
メジャーの過去を振り返りかえっても、NPBの王貞治と同じく通算本塁打数でトップの記録を持つバリー・ボンズ(ジャイアンツなど)が、敬遠という分野でもぶっちぎりの存在だ。シーズン記録は1位から3位までを独占。それ以外にも6位タイが2つ、9位タイが1つと強打者がひしめくメジャーリーグで、トップ10以内の記録を実に6個も保持している。
もちろん、通算記録も同様に圧倒的で、2位の倍以上となる688個で歴代トップ(ちなみに2位は今も現役選手としてカージナルスでプレーするアルバート・プホルスの316個)。抜くことはできないと言われている不滅の記録は数あれど、最も超えることが難しい記録の一つであるのは間違いないだろう。かつては満塁で敬遠されたという伝説も持つボンズは、今まで地球上で最も恐れられた打者と言っても過言ではない。