実績のあった野手では森本稀哲(DeNA→西武)、渡辺直人(西武→楽天)、藤田一也(楽天→DeNA)などが挙げられる。森本はFAで日本ハムから横浜(当時)に移籍したものの結果を残せずに2013年オフに戦力外となり退団。翌年は西武でプレーし、外野のスーパーサブとして99試合に出場して37安打を放った。在籍は2年だったものの、明るいキャラクターもあって人望は厚く、引退試合ではチームメイトが必死に繋いで森本に打席を回したシーンを覚えているファンも多いだろう。
渡辺は2017年オフに西武を退団し、古巣である楽天に復帰。復帰1年目には7年ぶりのホームランも放つなど、69試合の出場を果たしている。翌年は大きく成績を落としたが、2020年もコーチ兼任として現役を続行。試合出場は引退試合の1試合に終わったが、コーチとしてもチームを支え、2021年以降は専任コーチとなっている。藤田は昨年オフに現役続行を志願して今年古巣のDeNAに復帰。昨年は一軍出場がなかったが、今年は既に30試合に出場し(8月11日終了時点)、守備力とミート力が健在であることを示している。
一方で実績のない投手が戦力外からの移籍をきっかけに戦力となった例も目立つ。最近では今野龍太(楽天→ヤクルト)、近藤弘樹(楽天→ヤクルト)、田中豊樹(日本ハム→巨人)などの名前が挙がる。中でも圧倒的な存在感を示しているのが今野だ。楽天では6年間の在籍でわずか15試合の登板に終わったものの、ヤクルトでは1年目から20試合に登板して防御率2.84と好成績を収めると、昨年はチーム3位となる64試合に登板するフル回転の活躍で優勝、日本一にも大きく貢献した。今年もここまでいずれもチームトップタイとなる37試合登板、15ホールドとブルペンには欠かせない存在となっている。
近藤はドラフト1位でのプロ入りながらわずか3年で戦力外となり、ヤクルトに育成選手として入団。キャンプ、オープン戦で結果を残して開幕前に支配下登録されると、開幕から14試合連続無失点を記録するなど22試合に登板して11ホールド、防御率0.96と見事な成績を残した。肩の故障で昨年5月から戦列を離れているが、復帰を望むファンの声は多い。