コロナパンデミックが宣言されてから、もう2年以上コロナ疑いの患者さんをたくさん診療してきましたが、呈する症状も重症度も個人差があり、回復するまでに要する期間も人それぞれです。米国疾病対策予防センター(CDC)は、コロナが確認された患者は、自主的に少なくとも丸5日間、自宅療養し、他の人から隔離すべきであるが、強制的に隔離されるわけではないとしています。イギリスでは、国民保健サービス(NHS)がCOVID-19に感染した場合の対応についてのガイドラインを発表しており、それによると、コロナに感染した患者は自主的に自宅に隔離し、症状が悪化した場合は医師の診断を仰ぐべきだと言います。

 一方、日本では一律に10日間の療養期間を求める措置が講じられています。数日で回復する人もいれば、「隔離期間は過ぎたけれど、まだ咳が続く」など、10日たってもスッキリ回復せず症状が続く方も、もちろんいらっしゃいます。何度考えても、「一律に10日間療養しなければならない」という理由が私にはわかりません。

 コロナに罹患することは、「教育を受ける権利」も侵害しているようです。東京大学の教養学部2年の杉浦蒼大さんは、今年の5月にコロナを罹患。彼によると、ある一つの必修科目で、コロナ療養後に欠席連絡をするも受理されず、コロナ罹患中に休まざるを得なかった講義や課題への補講対応が認められないまま単位を取得することができず、留年となってしまったといいます。そんな大学の対応に対し、異議申し立てをおこなったところ、成績表の点数が元の点数から17点も減点され、大学からは「補講対応に関わらず、単位不認定である」との返答があったのです。

 大学側は「欠席当日の夕方に大学のサイトにアクセスした形跡があることから、杉浦さんにコロナ感染による重篤な症状があったとは認めがたい」と主張しています。彼の欠席連絡の不備を指摘し、療養後に彼が提出した「コロナ感染の診断書」を認めず、救済措置を一切行わなかったのです。説明もなく成績の引き下げ、その理由を聞きたいという彼の願いにも応じませんでした。(ちなみに、成績変更の理由が「教員による成績入力ミス」によるものであったことが、取材により明らかになったということです。)

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コロナとの共存とは?