コロナに罹患したことで補修を受けられず、また単位が取得できず、留年になってしまったという学生は彼だけではないでしょう。コロナにならないようにと、部屋から一切出ることなく日常生活を送ることは困難であり、日常生活を送っていれば、誰にもコロナに感染するリスクはあります。「2類相当」の扱いがなされているコロナに罹患し、10日間の療養期間を求める措置に応じた後に診断書を提出するも、補修や補講が受けられず、単位を落とし留年してしまう現状は、学生が「教育を受ける権利」を侵されると言わざるを得ません。

 コロナを「2類相当」として扱うのであれば、一律に10日間の療養期間を求める措置を強制するだけで終わるのではなく、それによって生じた影響にも目を向けるべきです。それが出来ないのであれば、「2類相当」として扱いながら「コロナとの共存」を模索するという矛盾した対応はやめるべきなのではないでしょうか。

 山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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